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美術館・博物館・名建築のススメ

その57:ゴッホ展

*基本データ

場所:上野の森美術館

行った日:2019/10

展覧会 URL ⇒上野の森美術館 - 展示のご案内 - ゴッホ展 (ueno-mori.org)

f:id:descri:20210723084253j:plainフィンセント・ファン・ゴッホ《糸杉》1889年6月(部分)

f:id:descri:20210814132009j:plain上野の森美術館

f:id:descri:20211111192818j:plainフィンセント・ファン・ゴッホ《麦畑》1888年6月

50×61㎝ の画面に広がる初夏の麦畑、遠景には家と山並みが描かれています。麦畑は斜めの線によって区切られていて、見る者の視線を手前から奥へと誘導します。その先には白い壁・オレンジの屋根の家、青い山並み、最後には水色・ピンク・白・黄で表現された美しいアルルの空が広がっています。画面の2/3を占める麦畑は筆の跡を残すように描かれ、風にゆれているかのようです。

ゴッホ1888年2月にアルルへ、同年10月にはゴーギャンとの共同生活が始まります。この作品はその間に描かれたものです。うねるような空の表現はまだ見られません。

f:id:descri:20211111192837j:plainフィンセント・ファン・ゴッホ《糸杉》1889年6月

93.4×74㎝、1888年12月の耳切事件のあと、翌年5月に入院した療養院のあるサンレミで描かれました。画面の半分ほどを占める糸杉の木はまっすぐに空へ向かって伸び、キャンパスを飛び出しています。明るい色彩、影のない画面、近・中・遠景の中に主題が大きく描かれた構図からは日本の浮世絵の影響も見て取れます。

1年前に描いた《麦畑》とは明らかに異なるうねる空と三日月のような太陽は画家の晩年の精神状態を表しているかのよう。

そしてゴッホの絵の具によって命を吹き込まれた糸杉は、見る者の目の中で揺らぎ始めます。