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その187:建立900年 特別展「中尊寺金色堂」&久隅守景《鷹狩図屏風》

*基本データ

場所:東京国立博物館

行った日:2024/4

展覧会URL⇒東京国立博物館 - 展示・催し物 展示 本館(日本ギャラリー) 建立900年 特別展「中尊寺金色堂」 (tnm.jp)

展覧会期間終了間際だったため激混み。

金色堂の模型、実際の金色堂須弥壇には奥州藤原氏四代が眠っています。

ここからは、本館の総合文化展。狩野探幽門下四天王の一人 久隅守景《鷹狩図屏風》江戸時代 

これを観るためだけにでも来館したいと思える作品。鷹狩は江戸時代には将軍や大名の権威を高めるための行事でした。洛中洛外図屏風のような、斜め上方より全体を俯瞰する構図で描かれた八曲一双の屏風の画面からは、広がりは感じられますが人物がどの場所でもほぼ同じ大きさで描かれているため、奥行きはあまり感じられません。詳しく観ていくと、人物一人一人に動きや表情があり、その場の状況や雰囲気までもが伝わってきます、さすがです。

将軍および徳川御三家のみが捕獲をゆるされた白鳥を狩っています。

鷹に餌をあげている人や、右下にはたばこを吸って休憩中の人達がいます。一番手前の人の着物の模様は梅鉢紋?

こちらの獲物は鴨です。

木の下で遊ぶ子どもたちも描かれています。

船の上からも身を隠して獲物を狙っています。

将軍および徳川御三家のみが捕獲をゆるされた鶴も狩っています。

鷹に襲われる鶴の姿は悲壮感すら感じさせます、さすがです。

先頭で鷹を持つ人は徳川家の人でしょうか?

真ん中の鷹を持っている人の青い着物にも梅鉢紋?徳川家と前田家の合同の鷹狩の図?

スマホで宴会の予約を確認している幹事らしき人。(そんなわけありません)隣には将軍か殿様が乗られているのであろう立派な馬具の白馬が描かれています。

画面の中に描かれている緑の丘が、洛中洛外図屏風における金の雲と同じような役割を担っています。上方に描かれている獲物をかついで戻るところ、その下の狩りの瞬間、下方に描かれている食事の支度という異なる時空間が緑の丘によって閉じられています。

この屏風については、宮城学院女子大学内山淳一教授(2024年4月現在)が大変興味深い論文を発表されています。