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その102:特別展「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」前期

*基本データ

場所:東京藝術大学大学美術館

行った日:2022/8

展覧会URL⇒特別展「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」 | 東京藝術大学大学美術館 The University Art Museum, Tokyo University of the Arts (geidai.ac.jp)

宮内庁三の丸尚蔵館収蔵の皇室の至宝と東京藝術大学のコレクション83点による展覧会。

著作権がきれているとはいえ、なんと自由なレイアウト。

高橋由一《鮭》1877年

140.0×46.5㎝の縦長の画面に、荒縄につるされ、身の一部が切り取られている鮭が写実的に描かれています。技法は紙本に油彩、昭和47年に重要文化財に指定されています。詳しく見ていくと、画面全体に鮭だけを描くという大胆な構図ですが、茶色の背景に写る影により前方やや右正面から光がさしていることが見て取れます。その光による陰影が細部にわたる鮭の立体感を強調しており、鮭を吊るしている荒縄や干物になっている皮の質感も見事に再現されています。さらに一部が切り取られることによって現れた鮮やかなオレンジ色は、皮の銀色との対比によって、今切り取られたかのような生々しさまでも感じさせる明治初期の傑作です。由一がここまで写実的な鮭を描いた理由は、誰もが見たことのある鮭を描くことによって、西洋画の技法の精密性、そしてそれが日本の近代化にとって重要な要素であるということを伝え、洋画の普及を試みるためでした。

国宝 加納永徳《唐獅子図屏風》(右隻)16世紀

葛飾北斎《西瓜図》1839年 肉筆