*基本データ
場所:東京都美術館
行った日:2019/9
展覧会 URL ⇒コートールド美術館展 魅惑の印象派|東京都美術館 (tobikan.jp)
エドゥアール・マネ《フォリー=ベルジェールのバー》1882年(部分)
東京都美術館エドゥアール・マネ《フォリー=ベルジェールのバー》1882年
96×130cm、カウンターの中央に女性が立ち、後ろは鏡になっていて大きなシャンデリアがあるバーの広い空間が映っています。店内の様子は喧騒を表すかのように粗く早いタッチで描かれ、逆にカウンターに並べられた瓶や果物が乗せてあるコンポートの透明感などは緻密で写実的に描かれています。鏡に映る姿から女性の前には男性がいて、何かを話しかけていることがわかりますが、女性は視線を合わせていません。どこか物憂げでとらえどころのない女性の表情が印象的です。バーの店内に流れる時間の一瞬を描いたマネの傑作です。
アンリ・ルソー《税関》1890年頃
40.6×32.7cm、国境の風景でしょうか、鉄の門と柵があり警棒を持った税関職員が立っています。後方には税関を通過して歩く後ろ姿の人物も描かれています。画面は平面的ですが、門や街灯、壁、煙突などの人工物はかたく、植物や雲など自然の物はやわらかい筆触で質感が描き分けられています。税関という物々しい場所であっても、ルソーが描く写実的ではない様式化されたような風景は、どこか素朴で穏やかな雰囲気を感じさせます。
ポール・セザンヌ《大きな松のあるサント=ヴィクトワール山》1887年頃
66.8×92.3cm、手前に松の木があり、その先にサント=ヴィクトワール山を望む風景が広がっています。山の稜線をなぞるような松の緑と、山につながるように描かれた村の緑が、空と山の青と調和し、画面を整えています。遠近法は使われていませんが、遠景により粗い筆致で絵の具を置くことにより、空間の広がりと山の大きさを表現しています。よく見ると家や橋、道なども描かれていますが、それらは主張することなく風景の中に溶け込んでいます。セザンヌが実際の風景を構図と色彩によって新たな空間に再構成していることがよくわかります。