*基本データ
場所:東京都美術館
行った日:2023/5
展覧会URL⇒マティス展 Henri Matisse: The Path to Color (exhibit.jp)
20年ぶりの大回顧展。
マティスは「絵画は、美しい青や赤、黄色など、人間の感覚の根底にあるものを突き動かす色が必要である、それはフォービズムの出発点、つまり色彩の純粋性を再発見する勇気である」と言っています。
65.3×92.3㎝の画面に赤いキュロットを身に着けた女性がベッドに横たわっている姿が描かれています。平面的な画面は、背景の衝立や壁紙がつくる垂直な面と、人物が横たわる姿でつくる斜めの面によって構成されています。人物の下半身を大きく、顔を小さく描くことによって、左下から右上へと続く奥行きを表現し、曲げられた手と足がつくる三角形は、観る者の視線を顔から足先へと導きます。フォービズムの特徴である赤や青、黄色などの鮮やかな色彩は、綿密に構成された構図によって、よりインパクトをもって目に飛び込んできます。
マティスはこの画題を繰り返し描いていますが、これはその第1作。「オダリスクの連作は、幸福感にあふれた郷愁、美しくも生き生きとした夢、夜も昼も心を奪われ、うっとりしながら経験したことの果実でした」という言葉を残しています。モデルはアンリエット・ダリカレール。
《ニースの室内、シエスタ》1922年 1月ごろ
マティスは『画家のノート』の中で「私が夢みる芸術は、文筆家にとってもビジネスマンにとっても、精神安定剤のような、肉体の疲れを癒す良い肘掛け椅子のような存在である」と言っています。
《ピアノの前の若いヴァイオリン奏者》1924~26年
《石膏のある静物》1927年
《緑色の食器戸棚と静物》1928年
《貝殻のヴィーナス》1930年
《座るバラ色の裸婦》1935年 4月~1936年
13回描き直された作品。モデルはアトリエの助手でもあったリディア・デレクトルスカヤ。
《夢》1935年 5月
この作品のモデルもリディア・デレクトルスカヤ。
《鏡の前の青いドレス》1937年
《ラ・フランス》1939年
《緑色の大理石のテーブルと静物》1941年 9月
この年にマティスは大病をしてベッドで制作することも多くなりました。
《若い女性と白い毛皮の外套》1944年
《黄色と青の室内》1946年
1943年マティスは南仏のヴァンスへ引っ越し、そこで室内画のシリーズに取り組みます。
《赤の大きな室内》1948年 春
この作品はヴァンス室内画の最後の大作、みんなペアで描かれています。
展覧会の最後のコーナーは、1948~51年にかけて手がけたヴァンス・ロザリオ礼拝堂です。内部が映像でも紹介されています。