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美術館・博物館・名建築のススメ

その27:フェルメール展 前期

*基本データ

場所:上野の森美術館

行った日:2018/10

展覧会 URL ⇒上野の森美術館 - 展示のご案内 - フェルメール展 (ueno-mori.org)

f:id:descri:20210623193426j:plainフェルメールの作品が、前・後期あわせて9作品展示、夢のようです。以下はポストカードです、題名やサイズは展示会パンフレットのものです。写真がたくさんありますのでご注意を。Wi-Fi 推奨)

f:id:descri:20210704200336j:plainヨハネス・フェルメール《牛乳を注ぐ女》1658~60年年頃(絵葉書)

45.5×41cmという小さな画面の中に牛乳を注ぐ女性が描かれています。左の窓から入る光が女性の上半身を照らし、白い帽子、顔、白い襟、黄色い服、腕、そしてハイライトが置かれた牛乳へと流れるように見る者の視線を誘導していきます。腰に巻いた布とテーブルにある布の青紫、上着とパンの黄色などの色彩バランスが絶妙で、さらに周りにある生活用品なども細かく描きこまれているところなどが、小品でありながら見ごたえがあると感じさせる理由なのかもしれません。

f:id:descri:20210704200404j:plainヨハネス・フェルメール《手紙を書く女》1665年頃(絵葉書)

45×39.9cmの画面に手紙を書いている途中に振り向いてこちらを見る若い女性が描かれています。暗い部屋の中で左方からの光に照らされた女性は少し微笑んでいるようです。ふんわりとした黄色の上着にふりそそぐ光と柔らかそうな布と毛皮の質感が見事に表現されています。そして「光の魔術師」と呼ばれるフェルメールの白い絵の具は、髪飾りや耳飾りなどに絶妙に配置され輝きを放っています。

f:id:descri:20210704200605j:plainヨハネス・フェルメール《手紙を書く婦人と召使い》1670~71年頃(絵葉書)

71.1×60.5cm、ステンドグラスのある窓から光が差し込む部屋で椅子に座り手紙を書く婦人とその少し後ろに立つ召使いが描かれています。窓は二段になっていて下のステンドグラスからはやわらかい光が、上の透明なガラスからは強い日差しが2人の女性を照らしています。しかしよく見るとこの作品には不思議なところがあります。主役であるはずの「手紙を書く婦人」は顔の半分が影になり、さらに下を向いているため表情は読み取れません。それに比べて「召使い」は、全身に光を浴び表情までも読み取れるように描かれています。なぜでしょう?背景の壁には<モーセの発見>という絵画が掛けられていて、主役のモーセは、当時エジプト人に奴隷として使われていたユダヤ人でした。そうすると《手紙を書く婦人と召使い》という作品の主役は「手紙を書く婦人」ではなく「召使い」ということなのでしょうか。「手紙を書く婦人」を手で隠すとすっきりと落ち着いた絵に見えてきます。(世界的名画にそんなことをしてはいけません)絵の中の「召使い」の女性は ”今頃気づいたの” と少し不満顔です。(完全に妄想です)

f:id:descri:20210704200645j:plainヨハネス・フェルメール《マルタとマリアの家のキリスト》1654~55年頃(絵葉書)

この作品は新約聖書の物語を題材にしています。158.5×141.5cmの画面に椅子に座るイエス・キリストと2人の女性が描かれています。手前の小さな椅子に腰かけながらイエス様の話を聞いている赤い服の女性は妹マリア、パンの入ったかごを持ってイエス様に話かけているのが姉のマルタです。家に来られたイエス様をもてなすための食事を準備している姉が、手伝わない妹への不満を訴えています。しかしイエス様は「マリアは良いほうを選んだ」と答えます。理由は「人はパンのみに生きるにあらず、神の言葉によって生きる」からです。「私の食事を準備することより私の言葉を聞くことのほうが良いことである」とイエス様は諭しています。(諸説あります、そもそもdescriptionになっていません)

f:id:descri:20210704200722j:plainヨハネス・フェルメール真珠の首飾り》1662~65年頃(絵葉書)

56.1×47.4cm、窓から光が入る部屋で真珠の首飾りを手にした横向きの若い女性が描かれています。当時の首飾りは金具ではなくリボンで結ばれていたようで、女性の見つめる先には小さな鏡があり、結び目を確認しているのでしょうか。窓から差し込む光が女性と壁を照らし、照らされた白い壁はさらに女性を浮き立たせています。カーテンの黄色と上着の黄色、髪飾りの赤と椅子の赤、そしてテーブル上の布の黒などの色彩が画面の中で呼応し、ここでも耳飾りに白い絵の具が輝いています。 

f:id:descri:20210704200821j:plainヨハネス・フェルメール《ワイングラス》1661~62年頃(絵葉書)

67.7×79.6cmの画面の中に、部屋でワインを飲む女性とワインボトルを持ってそれを見つめる男性が描かれています。ステンドグラス、織物のテーブルクロス、デカンタやグラスの質感など「ここまで描ける」ということを披露しているかのようです。でも少し不自然なところが…。室内なのにマントと帽子?(ハシゴを使って窓から入ってきたのかもしれません) 女性の胸が平らすぎませんか、(おそらく矯正しているのです) 床がゆがんでいるように見えます。(心がゆがんでいるからそう見えるのです)

f:id:descri:20210704200847j:plainヨハネス・フェルメールリュート調弦する女》1662~63年頃(絵葉書)

51.4×45.7cmの画面の中にリュート調弦する女性が描かれています。リュートを弾いているのではなく調弦しているのは左手の動作からわかります。机の上と床には楽譜が無造作に置かれ、女性は外を見ています。しかし、ただ眺めているというのではなく、誰か来るのを見ているようです。左手前の椅子と壁に貼られた地図によって部屋の奥行きが、右下の椅子と左上のカーテンによって部屋の広がりが表現され、その空間の中に光を浴びた女性が座っています。この作品でも耳飾りと首飾りにポワンティエ(白い点)が輝いています。

f:id:descri:20210708201154j:plainヨハネス・フェルメール《赤い帽子の娘》1665~66年頃(絵葉書)

23.2×18.1cm、赤い帽子をかぶった女性が振り向きながらこちらを見ている姿が描かれています。右上から光があたっているようですが顔はほとんど大きな帽子の陰になっています。背景には絵柄のあるタペストリーのようなものが飾られています。作品自体は小品で一見するとフェルメールの作品とは異なっているように感じますが、詳しく見ていくと、瞳・鼻・唇・耳飾りなどにポワンティエがあり、他の作品にも登場する椅子の彫刻などが見て取れます。それにしても室内で帽子にマントが流行していたのでしょうか。