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美術館・博物館・名建築のススメ

その165:ベルナール・ビュフェ美術館

*基本データ

場所:静岡県長泉町クレマチスの丘

行った日:2023/10

美術館URL⇒ベルナール・ビュフェ美術館 (buffet-museum.jp)

クレマチスの丘にあるベルナール・ビュフェ美術館、30年前から何度も来ています。昔、画廊で働いていた時に九州の美術館にビュッフェ(ビュフェ)の作品を納めたこともありました。

ビュッフェが最初に注目された時代は、第二次世界大戦後、絵画表現は具象から抽象へと、芸術の中心は戦争によって疲弊したフランスから戦争被害のなかったアメリカへと変わりつつある中で、フランスには具象絵画を復興させようとする気運がありました。そのような中で灰色と黒い線で描かれたビュッフェの作品は「戦後の虚無感、不安感という今の時代を映し出している」と称賛され、一躍時代の寵児となりした。しかしながら1960年代に入ると作品に対する賛否両論が沸き起こります。ビュッフェはそれでも変わることなく描き続けますが、1997年にパーキンソン病を発症し、1999年に自ら生涯の幕を下ろします。

1973年完成の本館は1960年代にメタボリズム・グループの建築運動を牽引した菊竹清訓氏の設計。立方体、円柱、三角柱を組み合わせた形になっています。1988年に新館が、1996年に別館が増設され、新館にはスロープのある吹き抜けの大きな展示ホールがありましたが、2012年に1階が展示室、地下に収蔵庫という今の形になったそうです。まさにメタボリズム建築です。

メタボリズムは1960年代、メタボリズムグループによって展開された建築運動で、新陳代謝メタボリズム)という時間的概念を建築物に導入し、可変性や増築性のある建築物や都市空間を提示しました。大高正人氏の「坂出人工土地」や黒川紀章氏の「中銀カプセルタワービル」などもメタボリズム建築でした。

特製辛口ビーフカレー、何度食べてもとにかく辛い、でも外気はとても清々しい。

館内は昔から撮影禁止なのですが、ここでしか観ることのできない多くの作品があるので、この美術館の素晴らしさをSNSなどで紹介できるようになればと切に願っています。(語弊がありますが、隣接するヴァンジ彫刻庭園美術館が今年9月に閉館してしまったため、私情が入ってしまいました、静岡放送さんお願いします!)

ベルナール・ビュフェカルメン》1962年

美術館に収蔵・展示されているこの作品も大好きで自宅にリトを飾っています。カルメンのリトは色違いで何種類か刷られていますが、自分は原画の色に近いこれがお気に入り。