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その136:特別展 「東福寺」

*基本データ

場所:東京国立博物館 平成館

行った日:2023/3

展覧会URL⇒東京国立博物館 - 展示・催し物 総合文化展一覧 日本の考古・特別展(平成館) 特別展「東福寺」 (tnm.jp)

臨済宗大本山 東福寺について深みのある鑑賞が出来ます。

東福寺は京都を代表する禅寺の一つ。1236年、九条道家の発願により中国で禅を学んだ円爾(えんに・聖一国師を開山に迎えて創建されました。「東福寺」の名は、奈良の東大寺興福寺の一字ずつをとったことに由来しているそうです。円爾は中国からお茶や饅頭、麺類の作り方を伝えた人物としても有名です。前期の展示では円爾の師である国宝《無準師範像》も展示されていています、美しい色と細密な描写が素晴らしい。東博HPで見れます)

複数点展示されている「頂相」は禅宗の卒業証書のようなもので、弟子が用意し師匠が賛を書き、肖像画は左の袈裟の裾が肘にかかっている姿で描くのだそうです。さらに禅僧は、死の間際に「遺偈」(ゆいげ)という悟りの境地の言葉を残すそうで、後期の展示では円爾の「遺偈」が展示されます。    

撮影可能なスペース。

1255年迄には仏殿が完成し、本尊の釈迦如来像も作られましたが1319年に焼失し、再建されましたが、明治時代にまた焼失しました。

仏手 14世紀

再建された釈迦如来の左手で与願印を結んでいます。明治時代の火災により今は一部が残るのみとなりました。

水かきがあります。

釈迦如来坐像(光背化仏)14世紀

連弁 14世紀

このような位置。

吉山明兆《仏涅槃図》グラフィック

東博の新しい館長さんがニュースで電気代のことを嘆いておられましたが、展示では照明の使い方がとても工夫されています。すべてLEDだと思いますが《迦葉立像》《阿難立像》の照明には法堂の燈明をイメージしたと思われる揺らぎが再現されていたり、光源が隠されていたり、正方形や長方形の照明が説明文だけにあたるようにして、堂内にいるような雰囲気を作り上げています。(法堂の天井には堂本印象が龍を描いています)

吉山明兆《五百羅漢図南北朝時代(1386)1号・20号・40号

勉強不足で知りませんでしたが、江戸時代、明兆は雪舟と並び称される画家だったそうです。1幅に10人の羅漢が描かれ50幅本で500人になり、黒を基調とした背景とは逆に羅漢は極彩色で描かれ、それぞれに物語があり、見ていて飽きません。作品の隣に物語の内容が漫画で説明されているという東博らしからぬ展示方法になっています。羅漢とは「尊敬に値する者という意味で釈迦の優れた弟子たちの事」だそうです。そこに禅僧の理想の姿が重ねられていますが、虎の牙の手入れをしていたり、龍の眼を治療していたりもしています。東福寺が明兆筆1~45号、狩野孝信筆46・47号の47幅、根津美術館が明兆筆48・49号を所蔵。今回の調査で行方不明だった幻の50号がエルミタージュ美術館に保管されていることが分かったそうです。その下絵が展示されています。

有名な映えスポット通天橋も再現されています。まだ誰もいません、チャンスです。

《四天王像》鎌倉時代

各展示室のパネルの一部に重森三玲市松模様が施され奥行きや立体感を演出し秀逸です。細部にまでこだわりのある展示でした。

平日なのに本館は混んでいます。