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美術館・博物館・名建築のススメ

その132:大川美術館 【松本竣介の作品を観るならここ!】

*基本データ

場所:群馬県桐生市

行った日:2023/3

美術館URL⇒okawamuseum.jp

坂の上、見晴らしが良いです。(画像多数、WiFi推奨)

1999年には両陛下もご訪問され楽しまれたそうです。

有名建築家の大きな美術館も素晴らしいですが、個性的な私立美術館も魅力満載です。大川美術館は、もとは企業の社員寮だったそうで、山の斜面を利用して建てられており、入り口が5階で鑑賞しながら下に降りていく構造になっています。(最後に館内図があります)

ラグーザ玉《水辺白鷺図》1933~39年

最初の作品で心を掴まれます。ラグーザ玉は明治期にイタリアに渡り活躍した女性画家。工部美術学校の講師として招かれたヴインチエンツオ・ラグーザと結婚、その後イタリアで50有余年活躍、夫の没後1933年に帰国。《水辺白鷺図》は帰国後に描かれた作品で、水辺のしっとりとした空気の中で寄り添う2羽の鷺が描かれています。奥行きのあるおさえた色調の背景とは対照的に、2羽の鷺はスポットライトで照らされているかのように白く輝いています。しばし見入ってしまいます。

美術館では珍しくガラスブロックを使って外光を取り入れています、左側に3つの展示室があります。

廊下の長谷川利行3点に、さらに心を揺さぶられます。左から《白い壺》1933年、《婦人像》1937年、《二人の女》1930年

アンドレ・ドラン《腕を伸ばした裸婦》1925年頃

ジョルジュ・ルオー《ジム、アチュール、ボブ》1932年

一番大きいものは、靉光静物(魚の頭)》1941年

掛井五郎《叫ぶ》1986年

階段を下りると広い展示室があります。

松本竣介《街》1938年8月

竣介ブルーが美しい。《街》という題の作品は繰り返し描かれています。

展示室内に竣介のアトリエが再現されています。蔵書についてもパネルで詳しく解説されており、知的好奇心を満足させるには十分です。

各部屋ごとにテーマ別に展示されてまいす。

松本俊介《都会》1938年9月

松本竣介《Y市の橋》1944年2月

松本竣介《Y市の橋》1944年頃

デッサンとその油彩が一緒に鑑賞できるのは貴重です。よく見ると人の形が少し異なり、デッサンでは動きが感じられますが、油彩では欄干にもたれているようにも見えます。《Y市の橋》という題の作品も繰り返し描かれています。

松本俊介《少年》1943年7月

二次資料も興味深いものばかりです。

《自画像》1943年頃

松本俊介《立てる像》1941年6月

神奈川近代美術館所蔵の《立てる像》1942年の構図です。⇒ 立てる像 : 神奈川県立近代美術館 (pref.kanagawa.jp)

松本俊介《婦人像》1943年頃

松本俊介《婦人像》1943年頃

松本俊介《せみ》1948年3月

松本俊介《建物(青)》1948年5月

松本俊介《構図》1948年

ステンドグラスは、磯辺行久《火焔太鼓》1991年

桐生出身アーティストのコーナーもあります。

ミュージアムカフェ、残念ながら土日、祝祭日のみ営業。

屋外席もあります。

カフェから階段を上って入口に戻ります。

出品目録も企画展・常設展・特集展示の3種類が用意されており、二次資料のデータや作家略歴、竣介のことばなども記載されています。博物館としての機能がとても充実している美術館だと思います、勉強になります。