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その120:予科練平和記念館 【土門拳 撮影写真42枚】

*基本データ

場所:茨城県 阿見町 霞ケ浦近く

行った日:2022/10

博物館URL⇒予科練平和記念館 (yokaren-heiwa.jp)

平和祈念館はたくさんありますが、平和記念館はあまりありません。

写真家 土門 拳 氏が泊まり込んで撮影した写真42枚が保管・展示されています。

館内はすべて写真撮影不可なので画像での紹介はできませんが、土門 拳氏が映し出したものは戦争の悲惨さや苦悩ではなく、大切なものを守りたいという想いで訓練に励む予科練生の姿でした。展示ブースは、入隊・訓練・心情・飛翔・交流・窮迫・特攻 に分かれていて、土門 拳氏が撮影した写真とともに資料が展示されています。コンセプトが明確で、ストーリー性があり、さらに芸術作品でもある写真が効果的に配置されています。

設計は吉村靖孝氏。建物には小さな窓がたくさんあります。見終わって上方に目をやると、零戦のコックピットから空を見上げているかのような感覚になり、めまいがしてきます。戦争資料を展示する博物館は数多く見てきましたが、ここは間違いなく別格です。

零式戦闘機二一型 実物大模型と格納庫

零戦の生産数は1万機を超え、日本軍が生産した飛行機では最多だそうです。でも実機で残っているものはほとんどないらしい。

天一型 (練習用)実物大模型

回天の名称は、軍艦「回天丸」から取ったと言われていて「天を回らし戦局を逆転する」という願いが込められていたそうです。実戦で使われたのは一型のみ、全長は14.75m、胴体の直径は1mで1人乗りで、先端部分には1.55トンの炸薬を装備し、目標に命中すると大型艦船でも一発で沈めることが可能と言われていたそうです。総生産数は420基。一度出航したら二度と生きて帰ることができない人間魚雷、予科練からは搭乗員として40名の方が戦没されたそうです。

予科練平和記念館の展示からは、大切なものを守ろうとした気持の気高さと、それを守る方法は戦争ではない、というメッセージが伝わってきます。

自分も学芸員の資格を取得するために博物館関係の科目を履修しましたが、博物館の研究対象としても興味深い施設だと思います。記念館のHPでは紹介しきれていませんので、ぜひ足を運んでいただきたいと願います。

お隣の自衛隊施設に一般公開されている「雄翔館」があり、山本元帥の像は記念館の方を見ておられます。

早朝の霞ケ浦(曇っています)