美術館・博物館・名建築 検索の備忘録

美術館・博物館・名建築のススメ

その50:国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展

*基本データ

場所:国立西洋美術館

行った日:2019/7

展覧会URL⇒松方コレクション展|開催中の展覧会|国立西洋美術館 (nmwa.go.jp)

f:id:descri:20210723084603j:plainクロード・モネ《睡蓮》1916年(部分) 

ジョン・エバレット・ミレィ《あひるの子》1889年

121.7 x 76㎝、19世紀末、ジョン・エバレット・ミレィによって描かれた作品です。縦長の画面中央に正面を向いて直立した少女が大きく描かれています。背景は暗く少女の立っている場所がどこなのかはわかりません。それとは対照的に、人物は、肌とドレスの質感、皺とそこにあたる光、髪の毛、靴に至るまで緻密に描かれています。少女は10歳くらいでしょうか、薄緑色のドレスを着ていますが、少し古びた様子や整えられていない髪型から、家が裕福でないことが見て取れます。しかしこの絵からは悲しさや不安などは感じられません。その理由の1つは、右上方より差し込む光です。背景の暗さに強調され、あたかも主役を照らすスポットライトのように少女を浮かび上がらせています。そして最も特徴的なものは少女のまなざしです。瞳はやや上を見つめ、閉じられた口元からは将来に対する強い想いを感じさせます。足元のアヒルは、4匹とも少女の方を向き、それを応援しているかのように見つめています。